この記事では、100株未満で取引をする「単元未満株」について、
メリット、デメリットをわかりやすく説明
デメリット(例:取引手数料が割高など)解決方法
など紹介していきます。
単元未満株はデメリットがあるものの、少額から投資がはじめられる最大のメリットがあります。私も投資をはじめたばかりの頃は、投資信託→単元未満株とステップアップしながら、株式の買い方や「優良企業の見分け方」などを身につけました。
記事では単元未満株を実際に何度も売買してみて、実感から得た教訓をまとめています。ご興味のある方のお役に立ちましたら幸いです。
下の目次を眺めるだけでも、要点がわかるようになっています。気になる項目があれば、チェックしてみてくださいね。
Contents
1.単元未満株5つのデメリットをわかりやすく解説(解決方法も)
・単元未満株とは?
単元未満株とは、100株単位未満(1~99株)で株式の売買を行うものです。
証券会社によって、呼び方は様々ですが次のものは全て「単元未満株」のことを言っています。
S株(SBI証券)、ワン株(マネックス証券)、プチ株(auカブコム証券)
国内株式は、通常100株単位で取引をします。これを単元株と言います。
単元株では、1度の注文が10万円を超える場合がほとんどです。1注文が20~30万円になることも珍しくありません(東証1部上場の国内株価の相場は、1株1,000円以上の銘柄で70%近くもあります)
「単元未満株」は、資金が少なくても気軽に投資ができるように、1株単位で株式売買をできるようにしたものです。
似たものに「ミニ株」がありますが、こちらは「株式ミニ投資」(単元株の1/10で取扱い、購入した証券の名義が証券会社になる)の用語です。正確には違うものですが、単元未満株のことを「ミニ株」と呼んでしまっている場合もあります。実際はどちらのことを言っているのか、確認が必要ですね。
次から単元未満株のデメリット、メリットを見ていきます。
2.単元未満株のデメリット
1) 取扱わない証券会社がある
単元未満株の取扱いは、証券会社の業務が煩雑になるためか、大手であっても取扱いをしていない場合があります。
例えば、楽天証券はネット証券会社の口座開設数のシェア第2位ですが、単元未満株は取扱っていません。
証券会社を選ぶ段階から、注意が必要になりますね。
単元未満株を扱う証券会社については、こちらも参考にしてみてください。
2) 取引手数料が割高
単元未満株は、売買手数料が割高に設定されています。
通常100株単位で取引するものを分割して扱うので、余計な手間がかかっているのですね。
例えば、大手ネット証券会社の「SBI証券」では、
《SBI証券の手数料比較 税込》
単元株:0円(1日100万まで)、1,278円(1日200万まで)※1日定額プラン
単元未満株:注文金額×0.55%(10万で550円、50万で2,750円)
場合によっては、単元未満株の手数料金額であと何株か買えてしまうかもしれませんね。
後の項目で「手数料が割高」の解決方法を検討しています。
3) 売買がリアルタイムではない
売買金額が、リアルタイムの株価になりません。投資信託に似ていますね。
取引時間の午前中を前場(9:00~11:30)、午後を後場(12:30~15:00)と言いますが、前場や後場の開始・終了時の株価で取引されます。注文した時間によっては当日ではなく、翌日になることもあります。
証券会社によって若干タイミングが変わるため、事前に把握しておきたいですね。以下は、参考に「SBIネオモバイル証券」の注文時間と売買金額の関係です。
注文時間 | 売買金額(約定のタイミング) |
0:00~7:00 | 当日の前場(9:00~11:30)始値 |
7:00~10:30 | 当日の後場(12:30~15:00)始値 |
10:30~13:30 | 当日の後場終値 |
13:30~24:00 | 翌営業日の前場始値 |
※スマホでご覧の方は左へスクロールできます
また、指値注文(金額をあらかじめ決めておき、その価額になったら注文する方法)もできません。
4) 議決権がない(株主権利)
株式を購入して株主になると、企業に対して権利を持ちます。それを株主権利と言いますが、単元未満株ではいくつか制約があります。
そのうちの1つが、「株主総会で議決権がない」です。
企業が経営や事業戦略を株主に説明して、承認をしてもらのが「株主総会」ですが、議題の「賛成」「反対」の多数決に参加することができません。
個人で投資する場合は、気にする人も少ないかもしれませんが、念のため知っておきたいですね。
5) 株主優待がない事も多い(株主権利)
多くの企業の株主優待が「100株以上の保有」を条件にしています。
例えば、
企業名 | 株主優待の内容 (20年5月20日現在) | |
100株未満 | 100株以上 | |
オリエンタルランド(4661) | なし | ディズニーリゾート ワンデイパスポート1枚~ |
東海旅客鉄道(9022) | なし | 東海道新幹線1割引券 1枚~ |
日本たばこ産業(2914) | なし | グループ商品総額2,500円~ |
楽天(4755) | なし | 楽天キャッシュ500円相当~、 及び楽天トラベル2000円相当~ |
KDDI(9433) | なし | カタログギフト3,000円~ |
ビックカメラ(3048) | ビックポイント+3%UP券 | 優待券 年間3,000円相当~ |
ダイドーグループ ホールディングス(2590) | グループ商品特別価格 | グループ商品6,000円相当~ |
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※株主優待の詳細は、各企業サイトの「投資家情報(IR情報)」でご確認ください。持ち株数以外に保有年数などの条件があることがあります
単元未満株の保有で株主優待が受けられる企業もありますが、数は少ないですし、内容もグレードが下がる傾向にありますね。
3.単元未満株のメリット
1) 少額からの株式投資
単元未満株の最大のメリットは、少額から株式投資できることです。
例えば、はじめての株式購入で、10万円を超える金額はちょっと怖いですよね。
通常の取引で行われる100株単位の単元株では、1回の注文金額が20~30万になることも珍しくありません。
それだけの資金を用意するのも大変です。
まずは金額を少なく、気軽に株式投資を始められるのは「単元未満株」ならではです。
2) 株初心者も低リスクで経験が積める
株式投資では、少しずつ経験を積んで自分にあった買い方や、優良企業の見極め方を学んでいきます。投資にはリスクがあります。最初のうちは損をすることもあるかもしれません。
金額が少なければ、万が一の時にも被害が最小限で済みますね。
少ない資金でも分散投資
また、投資のリスクを抑えるやり方に、「分散投資」があります。
これは手持ちの資金を1つの株に注ぎこまずに、いくつかに分けて持つ方法です。ある会社の株が値下がりしても、他で補おうという考え方です。
この資金を分散させた資産全体のことを「ポートフォリオ」と呼んだりしますね。
自分なりのポートフォリオを実現させるためには、まとまった資金が必要になりますが、単元未満株であれば気軽に「お試しポートフォリオ」を作ることができます。
ポートフォリオを考える、作ってみる、成長させるという過程が投資の勉強や経験になります。
関連記事:ポートフォリオの作り方「中長期投資のやり方(わかりやすい3ステップ)」
3) 株価の高い銘柄も買いやすい
人気の高い優良企業の株価は、1株で1万円以上するものもあります。
つまり、通常通りの単元株(100株単位)で買うためには100万円以上の資金が必要になります。万が一、損をしてしまったときの被害も当然大きくなりますね。
単元未満株であれば、そのような優良企業も数万円から投資できるため、資金不足やリスクを抑えながら購入することができます。
4) 買い足す事で単元株にできる
単元未満株は、後から買い足して合計が100株になると通常の「単元株」として扱えるようになります。難しい手続きもありません。
単元株にすることで、
・リアルタイムの株価で売れる(同じ証券口座で100株保有している必要があります)
・株主優待の対象となる
と単元未満株のデメリットがなくなります。
株価が下がったときに、コツコツと単元未満株を買っていつか100株を目指すという買い方もできますね。
5) 配当金がある(株主権利)
単元未満株では「株主権利」にいくつか制限がありますが、配当金は1株単位で貰うことが出来ます。
多くの個人投資家にとって、株主権利のうち「株主優待」と「配当金」が関心ごとだと思います。
株主優待の対象とならないことが多いのは残念ですが、単元未満株であっても、配当金が貰えるのは大きいですね。
4.単元未満株のデメリット解決方法
・割高な手数料をどうするか?
単元未満株のデメリットのいくつかは、コツコツと買い足して単元株(100株)にすることで解決できます。
ですが、「手数料の高さ」は何ともしがたいように思えます。コツコツと買い足すと、高い手数料も毎回支払うことになります。
私もはじめのうち、証券会社の手数料の仕組みがよくわからずに、単元未満株を買ってしまっていました。例えば、少額投資で1,000円手数料を取られてしまったら、それを投資利益で取り返すのは思いのほか大変です。
手数料の安い証券会社はない?
証券会社の単元未満株の手数料は、以下の記事でも比較していますが、どこも売買金額の0.5%前後であまり大差はありません。
関連記事:ネット証券会社の手数料金比較
そんな中で私が利用しているのは、SBIネオモバイル証券です。次のようなメリットがあるからです。
《SBIネオモバイル証券のメリット》
・月200円(税抜)定額で、月間50万まで取引きできる
・Tポイントで毎月200ポイント還元(実質費用、税金20円だけ)
・Tポイントを株式購入に使用可
手数料定額制は、よく見かけるようになりましたが、どこの証券会社も単元未満株は対象外です。定額で単元未満株を扱えるのは、SBIネオモバイル証券だけです。
また、ポイント投資で株式を購入できるのも、まだまだ珍しいです。
しかし、デメリットもあります。
《SBIネオモバイル証券のデメリット》
・手数料はクレジットカード払いのみ
・売買実績がなくても月200円(税抜)の固定費用
・Tポイント使用期間は2ヶ月で、他のサービス利用できない(期間固定ポイント)
ネオモバイル証券を実際に利用している実感としては、外国株や投資信託の取扱いが現状で無いため総合的に投資をしたい人にはむいていません。
毎月コツコツ、単元未満株の購入を続けたい方には、利用価値がとても高いと思います。
クレジットカード支払いは月単位で止められるので、初めて単元未満株をやってみたい方も、とりあえず200円(税抜)ならば利用もありかな? と思います。
・SBIネオモバイル証券
単元未満株の取引きも定額料金に込み
5.この記事のまとめ
今回の記事では、単元未満株のメリット・デメリットを実体験にもとづいてまとめました。
単元未満株は、注意しないといけないデメリットもありますが、株初心者の方が少額から「株の買い方」や「投資の経験」を積むのにとても適しています。
投資中級者以上の方にとっても、少額投資でリスクを抑えられるので、コツコツ投資に向いていますね。
この記事でまとめた単元未満株のデメリットや、その解決方法が、ご自身に合った投資生活のお役に立ちましたら幸いです。