ネット証券会社の大手2社と言えば「SBI証券」と「楽天証券」ですが、いったいどっちを選べば、より間違いがないのでしょうか?
私も投資を始めるのにあたって、どっちに証券口座を作ろうかと迷ったことがありました。
結論から言うと、両方の口座を使い分けている人が多いです。Twitterでアンケートをしてみた結果も、46%の方が両方利用していました。
私は現在、投資で2,000万円以上をこつこつ運用し、月に換算すると8万円ほどの実績でぼちぼち暮らしていますが、SBI証券と楽天証券をどっちも利用している一人です。両者にはそれぞれメリットがあって、自然と使い分けをするようになりました。
それぞれの使い分けの結論(メリット)をまとめると、
《楽天証券のメリット》
・投資信託の積立
→ 楽天カード利用で、年間最大6,000ポイント還元
《SBI証券のメリット》
・米国株、米国ETF
→ 取扱い銘柄豊富、為替手数料が業界最安水準
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
→ 信託報酬(手数料)最安水準の「eMAXIS Slim」選べる
証券口座を作るのも維持するのも、特に料金がかからない点も両方利用する大きな理由の一つでしょうか。
ブログ記事では実際に利用してみた体験談から、それぞれの利用の仕方についてコツを掘り下げて書いています。
下の目次を眺めるだけでも、要点がわかるようになっています。気になる箇所があればチェックしてみてくださいね。
Contents
1.楽天証券とSBI証券 使い分け方のコツ
・国内株式はどちらを利用しても大差ない
ネット証券会社の大手2社「楽天証券」と「SBI証券」ですが、
国内株式に関してはどちらを利用しても、ほとんど一緒です。どちらの証券口座も大差ありません。
例えば、手数料、取扱い銘柄数など比較してみると、
2021年7月4日現在
ネット証券 会社名 | 1日の合計注文金額による定額制(手数料・税込) | 国内株式 取扱い数 | 単元未満株 手数料 | ||||
~50万円 | ~100万円 | ~200万円 | |||||
SBI証券 | 0円 | 0円 | 1,278円 | 4,197件 |
注文金額×0.55% (最低55円) | ||
楽天証券 | 0円 | 0円 | 2,200円 | 4,203件 | 取扱なし |
1日の取引金額(約定代金)100万円までであれば両者とも手数料はかかりません。ネット証券会社の中で2社が人気である理由のひとつですね。
上に加えて、SBI証券では25歳以下の方は1日の取引金額の上限なく、国内株式の売買に手数料がかかりません。ですが、該当の年齢で1日に100万円を超える取引きを行うのは、かなり限られた人でないかと思います。
また、楽天証券では単元未満株の取扱いがありません。国内株式は、通常100株単位で取引きされますが、1株から売買できるようにしたものを「単元未満株」と言い、通常より割高なコストがかかります。
表からも、SBI証券の単元未満株について、別の手数料がかかることがわかります。単元未満株については、他の証券会社(SBIネオモバイル証券など)の方がコスト面で有利なため、ここでSBI証券のメリットと言い切れません。
※単元未満株の詳細は、次の関連記事をご覧ください SBIネオモバイル証券でコツコツ投資をはじめて1年以上たちました。実際に利用してみた感想や運用実績をブログ記事にまとめてみました。「Tポイント投資はおまけ」「実質コスト20円」「クレカ支払いが最初不安」等、本音の感想を書いています。 続きを見る
【ブログ】ネオモバで1株投資してみた(実際Tポイントどうよ?)
・それぞれのメリットに特化して、使い分けるのがコツ
前項の内容から、1日の取引額100万円までの国内株式であれば、「SBI証券」と「楽天証券」のどちらでも好きな方を利用すれば良いことがわかりますね。
ただ、投資信託の積立(つみたてNISA含む)、米国株や米国ETF、iDeCoの運用を考えると2社には明確な差があります。私は良い部分を生かすように口座を使い分けることで、投資利率を向上させたり、コストを抑えることが出来ています。
次項からは、この違いが「具体的に何か?」「どう使い分けると良いのか?」を見ていきます。
2.楽天証券の使い分け(メリット)
1) 投信積立「楽天証券+楽天カード」で、年利1%向上
投資信託の積立に楽天カードを利用
→100円で1ポイント還元(月最大5万円の買付けまで)
上記により「楽天証券+楽天カード」の組み合わせで、投資信託の運用利率が 1% 向上します。毎月上限まで積立をすれば、年間6,000ポイント還元です。また、楽天カードは初回ポイント贈呈などのキャンペーンを積極的に行っているので、初年度のポイント還元が1万ポイントを超えることも珍しくありません。
さらに、この楽天ポイントは翌月以降の投資信託の購入にも利用できるため、複利の効果(※)を狙えます。
※複利の効果:投資利益を再投資することで、雪だるま式に運用資産が増えていくこと
月5万円までの運用で利率が無条件に1%以上向上し、複利の効果で積立投資との相性も良いわけですから、投信積立で「楽天証券+楽天カード」が最強と言われているのも肯けます。
私も投資信託の積立のために、楽天カードを作成しました。一番オーソドックスなものを選べば、年会費無料。余計な手数料はありませんでした。
年会費無料のカードは限度額が少なめですが、投資信託のポイント還元の対象となるのは5万円上限ですし、楽天市場で買い物して+αのポイント貯めるのには問題ありません。むしろ使いすぎることがないので、ちょうどよかったかもしれません。
SBI証券との比較
SBI証券でも2021年6月30日より、クレカ積立によるポイント還元が始まりました。楽天証券と比較してみると内容はどうでしょうか?
SBI証券 | 楽天証券 | ||
利用カード | 三井住友カード | 楽天カード | |
預かり区分 | 特定、一般、NISA、つみたてNISA | ||
獲得ポイント | Vポイント | 楽天ポイント | |
還元率 (年会費) | スタンダードカード | 0.5% (年会費無料~) | 1% (年会費無料) |
ゴールドカード | 1% (5,500円~) | 1% (2,200円~) | |
プラチナカード | 2% (33,000円~) | 1% (11,000円~) | |
ポイント投資 | ー | ○ | |
ポイント対象となる 買付け上限額 | 5万円/月 | 5万円/月 | |
買付け頻度 |
月1回 *10日締切り、翌月1日買付け |
月1回 *12日締切り、翌月1日買付け |
年会費無料カードで比べてみると、楽天カードの「還元率1%」はやはりメリットが大きいですね。
プラチナやゴールドカードの場合、年会費とのコストバランスを考える必要がありそうです。投信積立以外の利用目的がない場合、年会費以上の利率をポイント還元で期待するのは難しそうです。
・既にSBI証券で投信積立している人
・月5万円以上の積立をしたい人が両社を併用する
・三井住友カードで投信積立以外の利用目的がある
といった人に、SBI証券のクレカ積立はメリットがあると思います。
ポイントまとめ
・「投資信託+楽天カード」で、年利1%向上(年最大6,000ポイント還元)
・楽天ポイントは、翌月以降の投資信託の購入に利用できる(ポイント投資)
・オーソドックスな楽天カードを選べば年会費無料
・SBI証券のクレカ積立のメリットは条件次第
楽天証券で投資信託を始める前に、先に楽天カードを持っておく必要があります。ご興味のある方は、下のリンクから公式サイトの内容も確認してみてください。最新のキャンペーン情報も確認できます。
2) つみたてNISAでも、ポイント還元率変わらない
「つみたてNISA」をひとことで言えば、運用益が非課税になる「投資信託の積立」です。
NISA(少額投資非課税制度)には2種類あり、それぞれ非課税枠(限度額)や非課税年数、対象が異なります。
年間非課税枠 | 非課税年数 | 対象 | |
NISA | 120万円 | 5年 | 株式を含む投資商品 全般 |
つみたてNISA | 40万円 | 20年 | 投資信託の積立てのみ(対象に条件有り) |
※NISAの詳細は、金融庁の「NISA特別ウェブサイト」をご確認ください
NISAのうち、投資信託を対象としたものが「つみたてNISA」です。例えば、つみたてNISAを利用して年間こつこつ40万円以内で買った投資信託が、運用の結果「50万円」や「200万円」で売れた場合を考えると、
《運用益にかかる税金》
50万 - 40万 = 10万円(利益)
→ 10万 × 20.315% = 20,315円(税金)
200万 - 40万 = 160万(利益)
→ 160万 × 20.315% = 325,040円(税金)
通常、上のような税金を払うことになりますが、「つみたてNISA」の場合 20年間は税金を払う必要がありません。
楽天カード+楽天証券の組み合わせであれば、「つみたてNISA」であっても、前項の「年間最大6,000ポイント還元」や「ポイントで投資信託の購入(ポイント投資)」を同じように行うことができます。
SBI証券のクレカ積立も「つみたてNISA」に対応していますが、現状で「ポイント投資」がまだ出来ない点が残念です。
つみたてNISAについて、楽天証券とSBI証券を詳細に比較した記事もあります。よろしければご活用ください。
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【ブログ】楽天証券とSBI証券つみたてNISAどっちがいい?
ネット証券大手「楽天証券」と「SBI証券」つみたてNISAを運用するならどっちに強みがあるでしょうか?両方の証券会社を使ってみて分かった「メリット」「デメリット」を比較。投資利率を向上させる為には、どっちを利用したら良いかまとめた記事です。
続きを見る
ポイントまとめ
・つみたてNISAは、運用益が非課税になる投資信託の積立
・「楽天カード+楽天証券」なら、つみたてNISAでもポイント還元&ポイント投資
楽天証券の「つみたてNISA」については、次のリンクより公式サイトの内容も確認してみてください。
3.SBI証券の使い分け(メリット)
1) 外国株(米国株、米国ETFは見逃せない?)
投資はじめてから、ある程度経験を積んでいくと、外国株、特に米国株が気になるようになりますよね。
個人投資家の中には、米国S&P500に投資しとけば間違いないと言う人もいるほど。今後も同じように米国市場が成長を続けるかは、もちろん誰にもわかりませんが、
・世界株式への分散投資
・規模が日本の何倍も大きい米国ETF(※)市場
を考えると、米国株の運用は十分に検討する価値があります。
※ETF(上場投資信託):証券取引所に上場して株式と同じように売買できる投資信託
SBI証券は次の点で、外国株の運用で有利だと思います。
米国を含めた世界9カ国の株式が運用できる
ドル円為替手数料が、業界最安値(1ドル当たり4銭)
※楽天証券は1ドル当たり25銭
※SBI証券で上記為替手数料を利用するには、住信SBIネット銀行の利用が必要
米国株式やETFを買おうと思ったら、ドルを調達する必要がありますが、その際為替手数料が発生します。
例えば、コツコツと米国ETFの買付けを100万円まで続けたとしたら、
SBI証券 (住信SBI銀行 4銭/ドル) | 楽天証券 25銭/ドル | |
1万円 | 3.70円 | 23.15円 |
5万円 | 18.51円 | 115.74円 |
10万円 | 37.03円 | 231.48円 |
20万円 | 74.07円 | 462.96円 |
40万円 | 148.15円 | 925.93円 |
70万円 | 259.26円 | 1620.37円 |
100万円 | 370.37円 | 2314.81円 |
楽天証券と比較すると、最終的には2,000円近い為替手数料の差が出ています。チリも積もれば山となりますね。
ポイントまとめ
・米国株の取扱い数が豊富(米国市場ETFも300件以上)
・ドル円為替手数料が、業界最安値(1ドル当たり4銭)
※住信SBIネット銀行の利用が必要
SBI証券を検討してみようかな? とお考えの方は、次のリンクから公式サイトの内容も確認してみてください。最新のキャンペーン情報もわかります。
2) SBI証券のiDeCoは「eMAXIS SLIM」が選べる
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、証券会社によって選べる投資商品に違いがあります。
SBI証券のiDeCoでは、三菱UFJが運用する投資信託「eMAXIS Slimシリーズ」を選択することができます。おすすめの投資信託として聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。
《eMAXIS Slimシリーズの特徴》
・世界の主要なインデックス投資が揃っている
(トピックス、S&P500、全世界株式など)
・信託報酬(手数料)が、業界最安値水準
iDeCoは20年、30年の長期運用が前提のため、とにかく手数料を抑えるのがポイントになります。毎月数百円であっても、十年単位ともなればバカにできませんね。
楽天証券との比較
楽天証券のiDeCo口座で選択できる銘柄とSBI証券の内容を比較してみると、どうでしょうか? 信託報酬(運用ファンドに払うコスト)の安い代表的なものを次表で比べてみました。
SBI証券 | 楽天証券 | ||||
取扱い数 38件 | 取扱い数 32件 | ||||
銘柄名 | 信託報酬(%) | 銘柄名 | 信託報酬(%) | ||
国内株式 | ニッセイ日経平均 インデックスファンド | 0.154 | 三井住友・DCつみたてNISA ・日本株インデックスファンド | 0.176 | |
eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) | 0.154以内 | たわらノーロード 日経225 | 0.187 | ||
外国株式 | eMAXIS Slim 全世界株式 (除く日本) | 0.1144以内 | たわらノーロード先進国株式 | 0.10989 | |
eMAXIS Slim 先進国株式 インデックス | 0.1023以内 | 楽天・全米株式 インデックス・ファンド | 0.162程度 | ||
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 0.0968以内 | ||||
ニッセイ外国株式 インデックスファンド | 0.1023 | ||||
iFree NYダウ ・インデックス | 0.2475 | ||||
インデックスファンド海外株式 ヘッジあり(DC専用) | 0.176 | ||||
eMAXIS Slim 新興国株式 インデックス | 0.187 | ||||
グローバル | SBI・全世界株式 インデックス・ファンド | 0.1102 | 楽天・全世界株式 インデックス・ファンド | 0.212 | |
国内債券 | eMAXIS Slim 国内債券 インデックス | 0.132以内 | たわらノーロード国内債券 | 0.154 | |
外国債券 | eMAXIS Slim 先進国債券 インデックス | 0.154以内 | たわらノーロード先進国債券 | 0.187 | |
インデックスファンド海外債券 ヘッジあり(DC専用) | 0.176 | たわらノーロード先進国債券 (為替ヘッジあり) | 0.22 | ||
iFree 新興国債券 インデックス | 0.242 | ||||
国内リート | ニッセイJリート インデックスファンド | 0.275 | 三井住友・DC日本リート インデックスファンド | 0.275 | |
海外リート | 三井住友・DC外国リートインデックスファンド | 0.297 | |||
複合資産 | eMAXIS Slim バランス (8資産均等型) | 0.154以内 | 楽天・インデックス・バランス (DC年金) | 0.163 | |
SBIグローバル・バランス・ファンド | 0.2799程度 |
※表中の投資信託は、信託報酬0.3%以下、信託財産保留額なし、純資産額100億円以上、売上げランキング100位以内から選別しました
SBI証券のiDeCoでは、外国株式ジャンルの選択肢が多く、やはり「eMAXIS Slimシリーズ」が選べるのは、SBI証券の大きな魅力のひとつですね。
ポイントまとめ
・iDeCoは20年、30年の長期運用になるため手数料を安く抑えるのがポイント
・SBI証券のiDeCoでは、手数料最安水準の「eMAXIS Slimシリーズ」が選択可
SBI証券のiDeCo口座にご興味のある方は、次のリンクより、公式情報も確認してみてください。SBI証券のiDeCo専用ページで内容を確認できます。
4.このブログ記事のまとめ
・目的にあった利用方法で運用益アップできる
今回の内容を改めてまとめると、
となります。目的に合わせた上手な使い分けで、運用益を少しでも向上させていきたいですね。
また、これから投資をはじめようとする方は、
・投資信託の積立(少額投資、分散投資が堅実にできる)
・1株から投資(単元未満株)で、国内株式デビュー
・将来的には、100株単位(単元株)や、米国株の運用も
など、1ステップずつ経験を積むのが大事ではないでしょうか。
投資初心者だった頃の自分に伝えられることがあるとすれば「少額投資でしっかり経験を積もう!」と言ってあげたいです。
それでは、最後までブログを読んで頂き、ありがとうございました!