Line証券の「いちかぶ(単弁未満株)」の手数料(スプレッド率)が2020年10月5日より新しくなり、料金コストが値上げになりました。
一方、取扱い銘柄が増えるなど利用者にとって良い変更も。新旧比較しながら、変更点をわかりやすくまとめました。
主な変更点は以下になります。
変更内容 | (旧) | (新) | |
いちかぶ(単元未満株) スプレッド率 | 日中※1 | 株価×0.05% |
株価×0.2% (グループA) 株価×0.3% (グループB) 株価×0.4% (グループC) |
夜間※2 | 株価×0.5% |
株価×1.0% (グループA) *グループB、C対象外 | |
いちかぶ(単元未満株)の取扱い銘柄数 | 315銘柄 | 1,015銘柄 | |
いちかぶ(単元未満株)のグループ分け | ー |
従来取扱い315銘柄→グループA 新規追加銘柄→グループB、C |
※スマホでご覧の方は、表を左にスクロールできます
※1 日中:9:00~11:20、12:30~14:50
※2 夜間:17:00~21:00、日中の一部11:30~12:20も同率
上記のように、変更点は「いちかぶ(単元未満株)」に関わる内容で、その他の現物取引、信用取引に変更点はありません。
記事では、実際に利用してみた実感や他証券会社とも比較しながら、今回の変更点について掘り下げた内容になっています。
下の目次を眺めるだけでも要点がわかります。気になる項目があれば、チェックしてみてください。
※こちらの記事は、2020年10月のコスト値上げをまとめたものです。2021年2月8日~新設された「グループD」を含めた最新の内容は次の関連記事をご覧ください。
-
LINE証券のスプレッドって結局いくらなの?【手数料を解説】
LINE証券の「いちかぶ」取引ではスプレッドというコストが発生します。しかも、このスプレッド(株価×比率)が株価に含まれて表示されるので「結局、いくらなの?」となりますね。この記事では「いちかぶ」のコストを簡潔にわかりやすく解説しています。
続きを見る
Contents
1.【新旧比較】LINE証券の手数料(スプレッド)値上げまとめ
1) 手数料(スプレッド率)0.05→0.2%など
2020年10月5日~
変更内容 | (旧) | (新) | |
いちかぶ(単元未満株) スプレッド率 | 日中※1 | 株価×0.05% |
株価×0.2% (グループA) 株価×0.3% (グループB) 株価×0.4% (グループC) |
夜間※2 | 株価×0.5% |
株価×1.0% (グループA) *グループB、C対象外 |
※スマホでご覧の方は、表を左にスクロールできます
※1 日中:9:00~11:20、12:30~14:50
※2 夜間:17:00~21:00、日中の一部11:30~12:20も同率
スプレッド率の上昇により、実質コストの値上げになりました。どのくらいのインパクトがあるかは次表を参照してみてください(他社と比べてどうなったのかは、後の項目を参照してください)
スプレッド率 | 0.2%(Aグループ) | 0.3%(Bグループ) | 0.4%(Cグループ) | 1.0%(夜間) | 0.05% (旧) |
1株のコスト | 6円 | 9円 | 11円 | 28円 | 2円 |
5株のコスト | 28円 | 41円 | 55円 | 137円 | 7円 |
10株のコスト | 55円 | 82円 | 110円 | 273円 | 14円 |
20株のコスト | 110円 | 164円 | 219円 | 546円 | 28円 |
50株のコスト | 273円 | 410円 | 546円 | 1,365円 | 69円 |
※スマホでご覧の方は、表を左にスクロールできます
※10月7日時点KDDI株価=2,730円を参考に用いました。KDDIはLINE証券の区分「Aグループ」に該当する為、本来のスプレッド率0.2%です
従来からの取扱い「315銘柄」は、表中「Aグループ」になるため、スプレッド率0.2%と一番上昇率が少ないですが、旧スプレッド率0.05%と比較すると、無視できないインパクトがありますね。
2)いちかぶ(単元未満株)315→1,015銘柄
《いちかぶ(単元未満株)の取扱い銘柄の追加》
315銘柄(旧)→ 1,015銘柄(新)
「いちかぶ(単元未満株)」で取引できる銘柄が増えました。利用者にとって、これは嬉しい内容ですね(追加銘柄については、公式サイト「いちかぶ 対象銘柄」をご確認ください)
但し、次項で説明する「グループ分け」によって、手数料(スプレッド率)に違いがあったり、夜間の取引が対象外であったりします。
3) いちかぶ(単元未満株)のグループ分け
《いちかぶ(単元未満株)のグループ分け》
従来取扱い315銘柄 → グループA
新規追加銘柄 → グループB、C
LINE証券で取引できる「いちかぶ(単元未満株)」は、グループ分けによって「手数料(スプレッド率)」と「取引可能な時間」に違いができました。
これから取引するときに、「この銘柄は、今は時間外だ」や「手数料(スプレッド率)が高いから、購入は止めておこう」など、このグループを確認して判断する必要がありますね。
LINE証券の注文画面にグループやスプレッド率は表示されていません。注文価額はコストがプラスされた状態になっています。
2.ネオモバなど他のネット証券と比較(メリット・デメリット)
・取扱い商品、銘柄数で比較してみた
LINE証券のサービス(取扱い商品、銘柄数)などを今回の変更点を反映させて、他社と比較してみました。ネット証券大手2社「SBI証券」「楽天証券」、スマホ証券大手「ネオモバ」と比較しています。
※更新日:2020年10月26日
国内株式(ETF含む) | 外国株 | 投資信託 | 手数料 | |
ネオモバ | 単元株(100株単位): 約4,100銘柄 | × | × | 月定額+Tポイント還元 (毎月200pt) |
単元未満株: 上記同等 | ||||
LINE証券 | 単元株(100株単位) : 約3,700銘柄 | × | 30銘柄 | 買付無料、売却手数料有り |
単元未満株: 1,015銘柄 | 株価×0.2~0.4% ※夜間 1.0% | |||
SBI証券 | 単元株(100株単位): 約4,100銘柄 | ◎(9カ国) | 2,646銘柄 | 注文毎の手数料、 又は1日定額制 |
単元未満株: 上記同等 | 単元未満株: 注文金額×0.5% (最低50円) | |||
楽天証券 |
単元株(100株単位): 約4,100銘柄 ※単元未満株の取扱いなし | ○ | 2,693銘柄 | 注文毎の手数料、 又は1日定額制 |
※スマートフォンでご覧の方は、表を左へスクロールできます
こうして比較してみると、「いちかぶ(単元未満株)」の取扱い銘柄数は他社と比較してまだ少ないように見えますね。ただ、国内の有名企業に投資する分には、十分に足りていると思います。
・手数料、コストで比較してみた
LINE証券の手数料(スプレッド率)の値上げを考慮したうえで、コスト面に焦点を当てて比較をしてみました。
単元未満株の手数料は料率で設定されることが多いため、わかりやすいように「1株2,730円のKDDI株」を購入した場合で比較しています(楽天証券は、単元未満株の取扱いがないため記載していません)
※表中手数料は税込価格 更新日:2020年10月07日
(税込) |
ネオモバ (SBIネオモバイル証券) |
LINE証券 (株価×0.2%のスプレッド) |
SBI証券 約定代金×0.5%(最低55円) |
KDDI 1株の手数料 | 220円→200pt還元 | 6円 | 55円 |
KDDI 10株の手数料 | 220円→200pt還元 | 55円 | 137円 |
KDDI 20株の手数料 | 220円→200pt還元 | 110円 | 273円 |
KDDI 50株の手数料 | 220円→200pt還元 | 273円 | 683円 |
※スマートフォンでご覧の方は、表を左へスクロールできます
ネオモバ(SBIネオモバイル証券)は、利用料金が月定額制で毎月Tポイントが200pt還元されるため表中の実質コストは20円です。
LINE証券での「いちかぶ(単元未満株)」の取引は、SBI証券よりコスト面で有利ですが、ネオモバと比較すると「月取引 1~5株程度」の少額投資であるかどうかが、分かれ目になりますね。
例の「KDDI株」で言えば、月の購入が1~3株程度なら、LINE証券のコストが有利になります。
※国内現物株(100株単位)については、今回変更がないため、この記事では比較していませんが、ご興味のある方は次の記事をご覧ください
関連記事:【比較表】LINE証券、ネオモバ、SBI証券、楽天証券の国内現物株の手数料
・LINE証券のメリット、デメリット
ここまでの他社比較を踏まえて、LINE証券のメリット・デメリットをまとめてみました。
《LINE証券のメリット》
・月総購入額5,000~10,000円(株式数1~5株)程度のお試し投資で、コストが業界最安値水準
・単元未満株の注文で、即時約定(売買確定)できる
・単元未満株において、他社の取扱い時間外にも注文、即時約定できる
今回の変更点に直接関係はありませんが、「単元未満株が即時約定できる」のは、LINE証券の特に大きなメリットです。
単元未満株は通常、注文と約定(売買確定)タイミングにズレが生じます。それによって、売買金額が注文をした段階では決まっていません。参考までに「ネオモバ」や「SBI証券」で単元未満株の約定タイミングは次のようになります。
注文時間 | 売買金額(約定のタイミング) |
0:00~7:00 | 当日の前場(9:00~11:30)始値 |
7:00~10:30 | 当日の後場(12:30~15:00)始値 |
10:30~13:30 | 当日の後場終値 |
13:30~24:00 | 翌営業日の前場始値 |
※スマホでご覧の方は左へスクロールできます
一方、LINE証券の「いちかぶ(単元未満株)」は、相対取引という仕組みで、即時約定になるため買付け・売却金額が注文時にわかります。手数料(スプレッド率)はこの相対取引に対して発生しています。
《LINE証券のデメリット》
・月総購入額5,000~10,000円(株式数1~5株)以上では、ネオモバなど他の証券会社のコストが安くなる
・銘柄(グループ)によってスプレッド率が違うため、コストがわかりにく
・他の証券会社より、「いちかぶ(単元未満株)」で取扱う銘柄数が少ない
単元未満株であっても、ある程度まとまった額(数量)を定期的に購入する場合、コスト面から考えるとLINE証券はあまり向いていません。
特にコストがいくらかかっているのかが、わかりにくいため、取引するときには注意(株価×スプレッド率を計算してみるなど)が必要になりますね。
3.この記事のまとめ
今回のLINE証券「いちかぶ(単元未満株)」を中心にしたいくつかの変更点で、利便性が上がった部分もあれば、コスト面で遅れをとってしまった部分もあります。
LINE証券の良さは、使い慣れた「LINEアプリ」の操作性をそのままに、手軽に少額投資できるところにあります。今回の変更をきっかけに、私も自分の投資スタンス振り返ることができました。目的に応じて、証券会社を使い分けることも必要ですね。
同じスマホ証券と呼ばれる「ネオモバ」と「LINE証券」のメリット・デメリットを徹底比較した記事もあります。他社乗り換えや、これから口座開設を検討されている方の参考になりましたら。
-
【良い悪い比較】ネオモバとLINE証券どっちも使ってみて比較
スマホで手軽に投資ができると注目の「ネオモバ」と「LINE証券」これから始めるならどっちがいい?両方利用してみた実感から、メリットやデメリットをわかりやすく比較しました。継続したコツコツ投資ならネオモバ、お試し投資ならLINE証券です。
続きを見る