投資はじめての疑問
・はじめての投資には「投資信託」がいいと聞くけど、種類があり過ぎて、どれを買ったらいいかわからない。
・そもそも投資信託って何? どうやって買ったらいいの?
そんな投資はじめての人の疑問に、今回の記事では簡潔かつ実践的な内容で答えていきます。
私もはじめての投資信託では、後悔することがいくつもありました。宣伝やうたい文句の良い部分だけで決めてしまったのが原因です。誰かに個別の銘柄をおすすめされても、それが本当に良いかどうかはわかりません。選ぶためのポイントを理解して、自分で決めるのが、結局一番失敗がないと今では実感しています。
また、ポイントをまとめてみた結果、少額投資非課税制度である「つみたてNISA」の条件とも一致している点が多くなりました。安心して中長期投資に利用できます。セミリタイアやFIRE生活では、コツコツと積立てた投資信託が、大きな経済基盤になり得ます。
良い投資信託を選ぶことで、ある程度放置しておけるようになります。中長期投資では、日常で投資のことを忘れてしまっているくらいがちょうどいいとも言われます。
この記事を通して、毎日の市場変動に頭を悩ませたりせず、他のことを楽しむ時間もつくってもらえたらと思います。
Contents
1.セミリタイア・FIRE向きの投資信託を選ぶ5つのポイント
投資信託とは、投資家から集めた資金をまとめて、個人ではできない規模の大きな運用を専門家が行う投資商品です。国内株、外国株、債権、不動産など投資先もさまざま、国内株ではある分野の業種に特化するなど、銘柄によって特徴があります。
なぜ、投資はじめての人におすすめできるのか? 理由は次のようなものが上げられます。
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少額投資しやすい
100株単位など口数ではなく、100円から金額で購入できる -
個別銘柄の検討をしなくてよい
実際の運用をするのは専門家。自分で株や債権、不動産など買わなくていい -
ある程度、資産の分散ができている
複数の資産で構成されているため、特定企業の業績に左右されない。ジャンルの違う投資信託と買い合わせることで、リスク分散もできる。
これらのメリットを踏まえながら、次項より投資信託を選ぶ5つのポイントを見ていきます。
・パッシブ(インデックス)型
投資信託には、パッシブ(インデックス)型と、アクティブ型の大きく2種類があります。投資はじめての人や、中長期投資におすすめできるのは「パッシブ型」になります。
日経平均やダウ平均など、代表的な株価指標の値動きに合わせて運用される投資信託。市場平均以上の値動きリスクが少なく、手数料が安い特徴があります。
・アクティブ型
運用責任者(ファンドマネージャー)の手腕で、市場平均を上回る運用実績を目指す投資信託です。個別の特徴がより明確(ロボット産業に投資する、ベンチャー企業株の保有率を高めにするなど)といえます。
パッシブ型がおすすめできる理由は「手数料が安い」「値動きリスクが低い」「人気企業に少額投資」が上げられます。
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手数料が安い
一般的に運用額の1%を超える手数料は高いです(手数料の詳細は後述)。
アクティブ型では個別企業の分析や、市場相場の先行きを読む売買など、運用者の負荷が高くなるため、手数料も高くなりがちです。 -
値動きリスクが低い
アクティブ型では、市場平均以上の成果を出すために、ベンチャー企業や流行の業種など、ファンドマネージャーの裁量でリスクの高い資産の保有率が高くなります。期待した企業の業績が悪ければ損失が発生します。
パッシブ型は市場平均になるように資産比率も分散されているため、特定の企業の業績に左右されにくい運用がされます。 -
人気企業に少額投資できる
人気のある企業の株価は割高で、個人で少額を買ったとしても大きな収益は見込めません。投資採算性が低いわけです。パッシブ型は市場やセクター(業種)の代表企業の株を組み入れているため、間接的にそれらの企業へ投資していることになります。
投資はじめての人は、まずパッシブ型で日経平均株価や、米国のS&P500など代表的な株価指数を追う投資信託の運用がやりやすいです。
・信託報酬が0.3%未満
投資信託の手数料には、次のような種類があります。
投資信託の手数料
・買付手数料
購入時に販売会社に支払うもの
・信託報酬(年間)
運用者に年間支払う管理手数料。資産額から自動で差し引かれます
・信託財産保留額※1、解約手数料
投資信託を売却するときにかかる費用
※1 信託財産保留額
投資信託の解約時には、資産を売却して、解約者に代金を支払いますが、その時にかかる手数料など。その投資信託を保有している他の投資家に負担がかからないようにするための費用です。
信託報酬以外の手数料・費用は全て無料のものを選ぶようにしたいです。特に買付け手数料が無料のものは「ノーロード」と言い、後述「つみたてNISA」の条件のひとつにもなっています。
最も大事なポイントは「信託報酬」です。これは投資信託の運用者に支払う管理費ですが、自分の保有額から年率で差し引かれ続けます。中長期投資では10年以上持ち続けることも珍しくありません。チリも積もれば山となります。パッシブ型であれば、0.3%以下が、コストと銘柄選択できる範囲のバランスがとれています。
・純資産額50億円以上
純資産額は、その投資信託が保有している資産の総額からコストなどを差し引いたものです。投資信託はこの保有資産を売ったり、買ったりすることで収益を生みます。
純資産額が10億円を下まわる投資信託は、いざという時に柔軟な資産の売買ができずに余計なコストがかかったり、繰上げ償還となるリスクがあります。
繰上げ償還とは
会社の経営難と一緒で、運用資金に行き詰まった状態です。資産を全て売却し、投資信託の保有者間で資産配分を行なって運用終了となります。
私も2019年にETF(上場投資信託)で繰上げ償還を経験しました。購入時には10億円程の純資産額でしたが、繰上げ償還が決まったときには5億円まで減っていました。今は値下がりしているけれど、景気が上向きになれば取り返せるだろうと思っていただけにショックは大きかったです。
中長期投資では、自分が意図しないタイミングの売却は、収益性を悪化させます。できれば経験したくないですね。
保有資産の入替えや、経費を抑えた売買タイミングなど、柔軟な運用を考えると純資産額は50億円以上あるものを選ぶようにしたいです。
・分配金は年1~2回まで
分配金とは、運用で得られた収益を投資信託保有者へ還元するものです。通常は半期、又は年間の決算内容で分配金が決まります。
分配金の支払いがないものや、反対に毎月分配金があるものもありますが、分配金の頻度が多すぎる投資信託には注意が必要です。
投資信託の目的のひとつは、運用収益によって純資産額を増やしていくことです。
純資産額が増えれば、銘柄入替えなど柔軟な運用がしやすくなり、収益性も増していきます。分配金は決算期間内に生じた収益の範囲で行われるのが理想です。
しかし分配金の頻度が多いと、収益ではまかなえずに保有資産を取り崩して支払うことになり、純資産が目減りしてしまいます。このような投資信託は、中長期投資には向いていません。
・目論見書をチェック
目論見書とは、投資信託の説明書です。
ここまでに解説してきた全ての要素(パッシブ型なのかアクティブ型なのか、目標とする指標など該当投資信託の特徴、手数料率、分配金の過去実績など)が網羅されています。
とても重要な書類ではありますが、目を通すのにも時間がかかります。まずは証券会社の検索ツールでスクリーニング(条件によるふるいわけ)をしましょう。たいていの検索ツールで、純資産額や手数料率など各種条件で絞り込むことができます。
スクリーニングの結果で実際に購入を検討したいものが見つかったら、その投資信託の目論見書をチェックするようにすると効率的です。
目論見書では他に次の内容も見ておくと購入検討に役立ちます。
・純資産額の推移
右肩上がりに成長しているか
・基準価額(投資信託の市場価格)の推移
パッシブ型であれば目標指標との乖離が大きくないか
2.運用は「積立投信」「つみたてNISA」がおすすめ
買いたい投資信託が決まったら、次のステップとして買い方や運用はどうしたらいいでしょうか?
投資信託の運用方法は、積立投信がおすすめです。非課税制度である「つみたてNISA」を利用するとさらにトータルリターン(売却益と分配金を合わせた収益)の向上が期待できます。
2-1 積立投信とは?「投資信託をちょっとずつ買う」
積立投信とは、定期的に同じ投資信託を買付けることです。口数ではなく、一定金額で積立てていくのがポイントです。
投資信託の購入単位には、口数と金額があります。口数は投資信託の単位ですが、あえて一定金額で買っていくことで、該当の投資信託が高いときには少ない口数を買い、安いときには多めの口数を買付けることを自然と行うことになります。
「高いときには少なく買って、安いときにたくさん買う」は投資の基本です。これをドルコスト平均法と言います。分配金を購入金額に当てることで、複利の効果も期待できます。
多くの証券会社で、積立投信を簡単にするためのツールが用意されています。購入金額と買付けタイミング(毎月決まった日付など)を設定することで、自動買付けを繰り返してくれます。
ついつい忘れてしまったり、相場が下がっているときの買付けは、慣れないと勇気がいりますが、この自動で行ってくれる機能が心強い味方となってくれます。
自動買付けを有効に活用するためには、負担にならない適正な買付け金額を設定することです。
私が楽天証券を活用して運用している「投資信託の積立」について、実績やコツなどをまとめた記事もあります。よろしければご活用ください。
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【ブログ】楽天証券で投資信託の積立やってみた(ポイント投資)
楽天証券で投資信託の積立を2年以上こつこつ実施、実績をブログ記事にまとめました。ポートフォリオ(保有している投資信託一覧)や、ポイント投資を最大限に活用し、投資利率を1%UPさせるちょっとしたコツなども。実体験に即した初心者向けの内容です。
続きを見る
2-2 つみたてNISAとは?「非課税制度で税金なし」
NISAとは、少額投資非課税制度のことです。
投資利益には税金がかかります。例えば、こつこつと40万円買った投資信託が、運用の結果「50万円」や「200万円」で売れた場合を考えると
《運用益にかかる税金》
50万 - 40万 = 10万円(利益)
→ 10万 × 20.315% = 20,315円(税金)
200万 - 40万 = 160万(利益)
→ 160万 × 20.315% = 325,040円(税金)
通常、上のような税金を払うことになりますが、「NISA」の場合は税金を払う必要がありません。
NISAには種類があり、株式や債券など投資商品の全般を対象とする「一般NISA」と、積立投資の運用だけに適用できる「つみたてNISA」があります。
年間非課税枠 | 非課税 年数 | 対象 | |
NISA | 120万円 | 5年 | 投資商品 全般 |
つみたてNISA | 40万円 | 20年 | 投資信託の積立てのみ(条件有り) |
※NISAの詳細は、金融庁の「NISA特別ウェブサイト」をご確認ください
つみたてNISAで運用できる投資信託の条件には次のようなものがあります。
- ノーロード型(買付け手数料無料)
- 信託報酬手数料が年率0.5%以下
- 分配金の頻度が毎月ではない
- 信託契約期間が無期限又は20年以上であること など
この条件は上で解説してきた「投資信託の選び方5つのポイント」を満たしていれば、自然と合致しています。
また、証券会社の検索ツールの絞り込みには「つみたてNISA」対応かどうかもあるため、簡単に見つけることができます。
注意点としては、通常NISAとつみたてNISAは併用することができません。年1回の変更(※)も可能ですが、手続きが必要になります。
※「通常NISA」と「つみたてNISA」の切替えは、10月1日~12月31日までの申込みで、翌年より変更可
どちらにしても課税対象外となるのは大きな魅力です。うまく利用することで、利益を大きく引き上げることができます。NISA口座は証券口座を作るときや、後からでも申し込むことができます。NISA口座を運用する証券会社は、途中で変更することも可能ですが、手続きに時間がかかるため注意が必要です(※)
※NISA口座を持つ証券会社は、毎年9月まで年1回変更可。NISAで取引き実績ある場合、翌年まで変更不可
「つみたてNISA」を実際に運用してみて、ネット証券会社大手2社を比較した記事もあります。よろしければ検討にご活用ください。
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【ブログ】楽天証券とSBI証券つみたてNISAどっちがいい?
ネット証券大手「楽天証券」と「SBI証券」つみたてNISAを運用するならどっちに強みがあるでしょうか?両方の証券会社を使ってみて分かった「メリット」「デメリット」を比較。投資利率を向上させる為には、どっちを利用したら良いかまとめた記事です。
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3.失敗しない証券会社の選び方
3-1 積立投資向きの証券会社比較
投資信託を購入するには、証券口座を作る必要がありますね。銀行でも投資信託を扱っていますが、手数料や銘柄の豊富さで、証券会社の方がやはり有利です。
特に投資信託の買付けに向いている証券会社の条件として、次が上げられます。
- 欲しい銘柄を扱っているか
- 投資信託でポイント還元がある
- つみたてNISA(※)に対応しているか
※つみたてNISA:少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度。詳細は前述をご覧ください
この3点について主要なネット証券会社を比較してみました。
更新日:2021年5月21日
証券会社名 |
取扱い銘柄数 (投資信託) | 投資信託 ポイント還元 | つみたてNISA | |
名称(条件) | 還元率 | |||
楽天証券 |
2,694件 |
楽天ポイント (楽天カード支払い) | 1% |
○ |
(投資信託の保有) | 50~1,000pt(※1) | |||
SBI証券 |
2,649件 | Vポイント (三井住友カード支払い) | 0.5~2%(※2) |
○ |
Tポイント (投資信託の保有) | 年利0.01~0.2%(※3) | |||
SBIネオモバイル証券 | なし | なし | - | なし |
SBIネオトレード証券 (旧ライブスター証券) | 2件 | なし | - | ○ |
LINE証券 | 30件 | なし | - | なし |
GMOクリック証券 | 128件 | なし | - | なし |
マネックス証券 | 1,213件 |
マネックスポイント (投資信託の保有) | 年利0.00~0.08%.(※3) | ○ |
auカブコム証券 | 1,379件 |
PONTAポイント (投資信託保有) | 年500 or 1,000pt(※4) | ○ |
岡三オンライン証券 | 559件 | なし | - | なし |
野村證券 | 986件 | なし | - | ○ |
松井証券 | 1,454件 |
松井証券ポイント (投資信託の保有) | ※5 | ○ |
※1 月間保有額が50万円以上など条件有り、保有額により獲得ポイントが変わります
※2 年会費無料カード0.5%還元、ゴールドカード1%還元、プラチナカード2%還元
※3 保有している投資信託の銘柄によって還元率が変わります。詳細は各証券会社のサイトをご確認ください
※4 au回線契約者は「年1,000ポイント」付与、au回線契約無い者は「年500ポイント」付与
※5 (月間平均保有金額)×{(販売会社が受け取る信託報酬率(税抜))- 0.3%)}×1/12
上の表では取扱い銘柄数を記載しましたが、ただ多ければいいわけでもありませんね。一番大事なことは「自分の欲しい銘柄を扱っているか?」です。初めてのネット証券会社を選ぶのであれば、購入したい銘柄の変更が後からでも問題ないように、銘柄の多い証券会社を選ぶのも手です。
また、私はポイント還元も重要視しています。長く、定期的に続ける積立だからこそ「数%」のポイント還元が後々大きな額になって資産へ影響してきます。ポイントの使いやすさも注目ですね。
以上のことを踏まえ、私は「楽天証券」で投資信託の積立を運用しています。実績や選んだ理由についてまとめた記事もあります。よろしければ参考にご活用ください。
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【ブログ】楽天証券で投資信託の積立やってみた(ポイント投資)
楽天証券で投資信託の積立を2年以上こつこつ実施、実績をブログ記事にまとめました。ポートフォリオ(保有している投資信託一覧)や、ポイント投資を最大限に活用し、投資利率を1%UPさせるちょっとしたコツなども。実体験に即した初心者向けの内容です。
続きを見る
4.まとめ 投信は「複利の効果&ドル・コスト平均法」が大事
中長期投資で利益の支えになる、複利の効果とドルコスト平均法を最も簡単に実践できるのが投資信託で積立てることです。投資がはじめての人でも、投資信託を選ぶポイントさえ押さえておけば、気軽にはじめることができますね。
また、私は長く保有するからこそ、ポイント制度が充実した証券会社を選びました。ポイント還元もトータルリターンの一部ととらえることで複利の効果が引き上げられ、運用実績はさらに向上します。
そして、つみたてNISAを活用することで、非課税制度の恩恵も得ることができますが、一般NISAと併用はできないため、選択は慎重に行いたいですね。
自分に合った証券会社で、投資の最初の一歩を積立投信ではじめてみてはいかがでしょうか。
この記事のまとめ
・パッシブ(インデックス)型
日経平均や米国のS&P500など代表的な株価指標を追うもの
・信託報酬が0.3%未満
継続して払うものは、チリも積もれば山となる
・純資産額が50億円以上
繰上げ償還や余計なコストがかかるリスクを下げる
・分配金は年1~2回まで
分配金の頻度が多いと純資産の取崩しが心配
・目論見書をチェック
投信の説明書。買うつもりの投信だけ確認
・運用方法は「積立投信」がおすすめ
→「ドルコスト平均法」と「複利の効果」
・つみたてNISAの活用で非課税に
→一般NISAとの併用できないので選択は慎重に
・欲しい銘柄を扱っているか
・投資信託でポイント還元がある
・つみたてNISAに対応しているか